はじめに
バディットコンサルティングのITエンジニア wahooです。今日は、「ネットワークエンジニア」について、掘り下げていこうと思います。
長年、「ネットワークエンジニア」をやっていると、具体的な役割、必要なスキル、スキルアップの方法など、意識していないことが多くあるのではないでしょうか?
いざ、人に教える場面になった際、無意識に行っていることなので、うまく、説明できなかったりするのではないでしょうか?
そこで、「ネットワークエンジニア」が、日々行っていることを整理してみたいと思います。今回は、以下の項目について、まとめてみます。
- 役割
- 知識とスキル
- スキルアップ手法
役割
まず、「役割」について、説明していきます。大きく分類すると、以下の4つになるのかと思います。
ネットワーク資産の管理
ネットワーク資産の管理者としての業務になります。
主に回線やルータ、スイッチングハブ、DNSサーバーなどのネットワーク機器の型番やEOS(利用期限)などを管理し、必要に応じて入れ替え計画を立案します。
要件定義
構築するシステムのネットワークに求められる要求を分析して、ネットワークの要件(ネットワークが満たすべき条件や機能)を定義します。
分析段階でネットワークに求められる信頼性やセキュリティを考慮した安全性、トラフィックの効率性を定めなければならず、高度な専門知識が必要となります。
ネットワーク構築
定義された要件を満たすネットワークを設計・構築します。
要件を満たすために必要な回線や機器の選定、データセンターの選定なども含めた設計を行います。
ネットワーク機器の手配や進捗管理、ベンダーマネジメント(コントロール)を行い、ネットワークを構築します。
なお、構築については、社内ですべて行う場合とベンダーに発注する場合、混在する場合があります。
保守・運用
ネットワークが正常に稼働しているかどうかを監視し、障害時に復旧作業などの対応を実施します。
外部からセキュリティ攻撃を受けていないかなどの監視を実施します。
システムのOSやネットワーク機器のファームウェアアップデートなどの保守業務を行います。
知識とスキル
次に、必要な「知識とスキル」についてです。ここは、少々、項目が多くなり、9項目が考えられます。(今後、変化していくものもあります)
要件定義スキル
システムに必要となるネットワーク要件を定義するスキルです。
顧客が望むシステム要件をシステムエンジニアと共に分析し、システムに最適なネットワーク要件を定義します。
具体的には、現行システムのネットワーク分析、ネットワーク設計・構築作業範囲の確定、トラフィック予測などを実施します。
システムエンジニアとコミュニケーションをとりながら行うため、ソフトウェア開発の知識も必要となります。
ネットワーク設計スキル
要件定義に基づいて、ネットワークを設計するスキルです。
設計は「論理設計」と「物理設計」に分けられます。
論理設計は、IPアドレスの割り振りやサブネットワーク、ゲートウェイの配置、ルーティング情報など、俯瞰的な視点からネットワークの様子が分かるような設計図の作成をします。
物理設計では、機器の物理的な位置やポート接続図などの作成をします。具体的には、スイッチングハブや端末の位置、IPアドレスなどをフロア図に記載した設計図などがあります。
ネットワーク構造やネットワーク機器に関する知識も必要となります。
ネットワーク構築スキル
ネットワーク設計図を理解して、ネットワークを構築するスキルです。
具体的には、作業計画の策定と周知、スケジュール調整、構築作業の進捗管理あるいは作業実施、ネットワークのテスト計画策定とテストを実施するための技術が必要となります。
ネットワークを経由したバックアップ構築など、ネットワークに関わる機器やアプリケーションを取り扱う知識も必要となります。
ネットワーク運用スキル
ネットワークの状況を監視する為に必要なスキルです。
運用作業だけでなく、監視計画を策定することやセキュリティ上の脅威の検知、脅威への対応スキルなど、ネットワークが正常に稼働していることを確認する技術やセキュリティ対策知識が必要となります。
ネットワーク保守スキル
ネットワーク機器や関連するソフトウェアが、継続して利用できるように保守するスキルです。
具体的には、老朽化した機器の入れ替えやソフトウェアやファームウェアのアップデートなどの実施となります。
利用している(保守対象)製品の知識が必須です。
コミュニケーションスキル
業務を進めるうえで、顧客や他部署、外部ベンダー等との調整などが頻繁に発生するため、業務を円滑に進めるために、対外的なコミュニケーションスキルが必要となります。
文書作成スキル
ネットワークエンジニアは、要件定義書や設計書、運用計画書など多くの文書を作成するため、これらの技術文書を作成するスキルが必要となります。
これらの文書は、関係者と共有されるので、他人が理解できるように作成する必要があります。
多くの場合、社内フォーマットや業界標準フォーマットに沿って作成することとなります。
プロジェクトマネジメントスキル
ネットワークエンジニアの中のマネージャーは、ベンダー選定から要件定義、設計、構築、運用、保守という一連の工程を担当するため、プロジェクトマネジメントスキルが求められます。
クラウド対応スキル
システムのクラウド化に伴い多様なクラウド基盤上での対応や接続対応が求められます。
多様なクラウド基盤の各種制約を把握し、各役割に取り込む必要があります。
スキルアップ手法
最後に、どうやってスキルアップしていくかの「スキルアップ手法」についてです。
実践
実際に体験することが、一番のスキルアップになります。しかし、規模が大きくなる程、簡単に体験することは、できないでしょう。
今、与えられている役割の中で、疑問を持ち、一つひとつ解決することで、深く理解しスキルアップしていくと良いと思います。役割の範囲を自分で定めることなく、常に少しでも広げていくことで、知識も豊富になり、結果、高いスキルが身に付いていきます。
勉強会
社内外の勉強会へ参加することで、他のエンジニアからの刺激を受け、自分のモチベーションを高めることができます。同年代のエンジニアにできることは、自分にもできる可能性があるはずです。
その他
エンジニアに必要な知識とスキルに関することは、様々なメディアから情報が発信されています。その情報をなんとなく見ているのではなく、「なぜ」と疑問を持つことにより、自発的な「調べる」行動に繋げることで、知識が向上していきます。
また、昨今のパブリッククラウドにおいては、「無料利用枠」というものが、数多くあります。この「無料利用枠」をうまく使えば、実際に体験することができるので、活用することにより、スキルアップすることも可能です。
まとめ
どんな役割の仕事にも、レベルの高い人材は、必要であり、存在しています。自分の「知識とスキル」を向上させることで、より価値のある「エンジニア」を目指して行きたいと思います。
最近よく巷で見聞きするのは、『ひとつのスキルだけではなく、複数のスキルを身に付けることで、エンジニアとしての価値を上げましょう』という情報だと思います。皆さんも興味を持って、複数の「知識とスキル」を身に付けて欲しいと思います。
難しいけど、ネットワークエンジニアの枠を超えた「フルスタックエンジニア」は、憧れますね!!
では、また、次回!!